| 詳細 | 細胞膜上でのPI3,4P2の量をモニターするFRETバイオセンサーPippi-PI3,4P2をCAGプロモーター下で全身に発現させたトランスジェニックマウスである。PI3,4P2は、PI3キナーゼにより産生されたPIP3が脱リン酸化された産物であり、PHドメインを含む多くの酵素を活性化する。なかでも細胞死や細胞運動を制御するリン酸化酵素であるPDKとAktは、PIP3およびPI3,4P2の双方に結合することが知られているので、これらの分子の活性化状態の指標としてしばしば用いられる。本マウスを二光子顕微鏡による生体イメージング観察することにより、胎児および成体のさまざまな組織におけるPI3,4P2の量を時間的、空間的に測定することが可能である。様々な組織の初代培養細胞にても十分な発現が見られることから、生きた動物でのシグナル伝達系の解析のみならず、PI3Kをターゲットとした薬力学的解析など、創薬への応用も期待される。このバイオセンサーは細胞膜に発現している。なお、一般的にFRETバイオセンサーは固定標本には用いることができない。 注:FRET (Förster (or fluorescence) resonance energy transfer,蛍光共鳴エネルギー移動) |